【精神疾患で働きづらい方へ】障害年金3級の条件と認定基準を社労士がわかりやすく解説

精神疾患により、仕事や生活に大きな影響が出ている方の中には、「もしかしたら障害年金を受けられるのでは?」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

特に、フルタイムでの勤務が難しくなったり、職場での人間関係や業務の遂行に支障を感じている場合、「障害厚生年金の3級」に該当する可能性があります。

ただし、「障害年金3級」は誰でも申請すれば受け取れるものではなく、国が定める条件を満たす必要があります。今回は、精神疾患で障害年金3級の受給を考えている方に向けて、分かりやすくその条件や認定基準を解説します。ご自身の状況を振り返るきっかけとして、ぜひ参考にしてください。

まず知っておきたい!障害年金3級の3つの基本要件

障害年金には「初診日要件」「保険料納付要件」「障害の状態要件」という3つの基本的な条件があります。これらを満たして初めて、障害年金を受け取れる可能性が生まれます。

1. 初診日要件

障害年金の認定において最初に確認されるのが「初診日要件」です。

これは、精神疾患に限らず「初めて医師の診察を受けた日」がどこに位置するかによって、どの年金制度が対象になるのかが決まるというルールです。

・初診日に厚生年金に加入していた場合 → 「障害厚生年金」が対象
・初診日に国民年金のみ加入していた場合 → 「障害基礎年金」が対象

ここで重要なのは、「障害年金3級」があるのは 障害厚生年金のみ という点です。つまり、初診日の時点で厚生年金に加入していなければ、3級はそもそも対象外となります。

2. 保険料納付要件

次に確認されるのが「保険料納付要件」です。これは、年金制度を支える上で最低限必要とされるルールで、以下のどちらかを満たしている必要があります。

・初診日の前々月までの期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納付している(免除期間も含む)

・または、初診日の直近1年間に保険料の未納がないこと

精神疾患の場合、若い頃から発症することも少なくありません。その場合、学生時代などに未納があるとこの要件に引っかかることがあります。

3. 障害の状態要件

最後に最も重要となるのが「障害の状態要件」です。

精神疾患の場合、「働くことや日常生活にどの程度支障が出ているのか」が評価されます。

この要件の判断が、3級に該当するかどうかの大きな分かれ道となります。

【ここが重要】精神の障害における3級の「障害の状態」とは?

障害年金3級の認定基準は、日本年金機構によって次のように示されています。
「労働に著しい制限を受けるか、または労働に制限を必要とする程度のもの」

これは少し難しい表現ですが、噛み砕くと「通常の勤務が難しく、配慮や制限を受けながらでなければ働けない状態」を意味します。

具体的には次のようなケースが想定されます。

・単純作業や軽作業であれば可能だが、複雑な判断を伴う仕事は難しい

・フルタイム勤務は難しく、短時間勤務や時短勤務であれば可能

・周囲の援助や配慮がなければ業務を継続できない

・休職や職場復帰を繰り返しており、安定した就労が難しい

つまり、「まったく働けない状態」ではなくても、「通常の就労に大きな制限がある」という場合に3級に該当する可能性があるのです。

ご自身の状況を振り返ってみましょう(チェックリスト例)

実際にご自身が3級に該当する可能性があるのか、次のようなチェックポイントを参考に振り返ってみましょう。

□ 仕事でミスが増え、上司の指示が理解しづらくなった

□ フルタイム勤務が難しくなり、短時間勤務に変えてもらった

□ 人間関係がうまくいかず、職場でのトラブルや孤立が増えた

□ 体調の波が大きく、欠勤や休職を繰り返している

□ 精神的な不調で職種や配置転換を余儀なくされた

□ 周囲の援助がなければ業務をこなすのが困難になっている

こうした状況が複数当てはまる場合、「障害厚生年金3級」に該当する可能性があります。

上記は簡易なチェックリストになります。
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障害年金を受け取るための条件

障害年金を受け取るためにはいくつかの条件を満たさなければなりません。

申請の前に、条件を満たしているか必ず確認しましょう。

①初診日要件

国民年金、厚生年金、共済年金へ加入していた期間中に、その障害の原因となった病気やケガを医師や歯科医師に診察してもらっていることが必要です。

この診察を初めて受けた日を「初診日」といいます。健康診断で異常がみつかった日や、誤診を受けた日が初診日とみなされることもありますのでご注意ください。

②保険料納付要件

この保険料納付要件が満たされないと、この病気やケガを原因とする障害年金はもらえません。

初診日の前日に、その初診日のある月の前々月までの期間の3分の2以上が、次のいずれかの条件に当てはまっている必要があります。

・保険料を納めた期間(会社員や公務員の配偶者だった期間も含む)

・保険料を免除されていた期間(全部免除、一部免除)

・保険料納付猶予期間(学生納付猶予など)

・合算対象期間(いわゆるカラ期間)

20歳以降初診日の前々月までの被保険者であった期間のうち、3分の1を超える期間の保険料が未納でなければ大丈夫です。

実際に保険料を納めていた期間だけでなく、正式に保険料が免除されていた期間も、納めていたものとして扱われます。

上記の要件には当てはまらなくても、令和8年3月31日までに初診日がある場合は、初診日の前日に、その前々月までの1年間に保険料の未納がなければ要件を満たすことができます。

(※20歳前の年金制度に加入していない期間に「初診日」がある場合は、納付要件は不要です)

③障害認定日の要件

障害年金を受けられるかどうかは、障害認定日に一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。

障害認定日とは、初診日から1年6か月が経過した日か、1年6か月が経過する前に症状が固定し、それ以上治療の効果が期待できない状態となった日のことです。

例外

下記の状態になった場合も障害認定日として扱われます。

・咽頭全摘出・・・摘出した日

・在宅酸素療法・・・常時使用を開始した日

・人工透析をしている場合・・・人工透析開始から3ヶ月を経過した日

・心臓ペースメーカー、人工弁、CRT、心臓移植、人工心臓を装着(移植)した場合・・・装着(移植)した日

・人工肛門造設、尿路変更術・・・造設日(手術日)から起算して6か月経過した日

・新膀胱・・・造設した日

・遷延性植物状態・・状態に至った日から3か月を経過した日

・人工骨頭、人工関節を挿入置換した場合・・・挿入置換した日

・手足の切断の場合・・・切断された日

・脳梗塞、脳出血による肢体障害の場合・・・初診日から6ヶ月以上経過後の医師が症状固定と判断した日

この障害認定日に一定の障害状態にあると認められると、その翌月から年金が支給されます。

これを、障害認定日請求と呼び、もし請求が遅れても最大5年遡って支給されます。

そのほか、障害認定日に障害の状態が軽かったとしても、のちに悪化する場合もあります。

この時は「事後重症請求」という形で申請することも可能です。

詳しくはこちらをご覧下さい。

④受給できるのは原則20歳から64歳まで

障害年金は原則20歳から64歳までの人が受給できます。

65歳以上は老齢年金と障害年金のどちらかを選択するか、または併給調整がかかり、最終的にもらえる金額が変わらない場合があるため注意が必要です。

まとめ

精神疾患による障害年金3級は、「まったく働けない」状態ではなくても、仕事に大きな制限がある場合に認められる可能性があります。

ただし、障害年金の認定は「医師の診断書」「日常生活や就労状況の記録」など客観的な資料をもとに慎重に判断されます。ご自身の自己判断だけで「該当するかも」と考えるのは危険です。

「自分の状態は3級に当てはまるのだろうか?」と感じた方は、専門家に相談していただくことをおすすめします。

当事務所では、精神疾患に関する障害年金の申請実績が多数あります。あなたのケースが障害年金3級に該当するのか、一緒に検討させていただきます。まずはお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。

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投稿者プロフィール

社会保険労務士 齋藤 夏見
社会保険労務士 齋藤 夏見
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